定期借家契約の契約書書式

賃貸事務所の契約には、一般的に知られる普通賃貸借契約と
更新をしない前提で契約を結ぶ定期借家契約がある事を
以前の記事でご紹介させていただきました。

その時の記事はこちら
定期借家契約のメリット・デメリット

今回は、その一般的には馴染みのない定期借家契約について
契約書の条文などを交えながら前回の記事の補足としてご説明したいと思います。

まず、
賃貸事務所の定期借家契約を成立するには、普通賃貸借契約(以下普通契約)
と違うルールがあります。

  1. 一定期間を定める
    例えば、2年間に限る賃貸借というように期間を定めます。
  2. 重要事項説明で必ず説明する
    不動産の契約では、その契約をする前までに必ず重要事項説明が
    書面をもって行われます。その際に定期借家契約であることを
    借主に必ず説明することが義務付けられています。
    但し、重要事項説明では期間と定期借家であることを説明すれば足りて
    いまいます。したがって一般的には足りない部分を補う形で下のような書式での説明も行います。 

  3. 公正証書等の書面による契約に限る
    定期借家契約は必ず書面で行わなければなりません。
    書面が無い口頭だけの契約は普通契約とみなされます。
    また、書面は必ず公正証書というわけではなく、市販されている物や
    独自に作成した契約書でも有効となります。
    ※公正証書については後述いたします。
  4. 契約更新がないとする特約を定めること
    以下は契約書条文の例です。


    ①②共に「更新がない」旨が記載されており、その後にオーナー様と
    借主様の協議のうえで再契約をするかどうかを決めるという内容の条文です。

このように普通契約とは違う決まり事が定期借家契約にはあります。
特に、書面で行わないと普通契約とみなされるという点は、「ん?」と
思われる方がいらっしゃるのではないでしょうか。
普通契約でも書面を取り交わしますからそう思うのは自然です。
しかし、契約とは厳密にいうと口頭でも成立します。
本来は「借りたい」、「貸します」の意思表示だけでOKなんですね。
したがって、定期借家契約では、わざわざ「書面でなくてはならない」と
決めているのです。

※公正証書について
公正証書とは、公証人により公的な文書として作成され、
原本は公証人役場などで厳重に保管されます。
当事者のみで作成した契約書より、公的に証明される文書として
扱われ、万が一訴訟などになった場合には厳格な証拠となります。
また、公正証書による契約は費用がかかり、契約当事者双方の
折半が一般的です。

昨今の賃貸事務所では、この定期借家での契約が増えております。
今回ご紹介したのは契約が成立するための必須条件でありますので、
契約の際のチェック項目として参考にしていただければと思います。