賃貸事務所や賃貸住宅の契約書の内容は、法律用語で記載されていることが多く、慣れていない方にとっては意味がわからないこともあるでしょう。
また、賃貸借契約書は、口頭での説明が義務付けられている重要事項説明と違い、説明義務がありません。
事前に内容の確認はするものの、説明が無いため、分らないことも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、賃貸借契約書の中から、賃料の支払いと賃料の改定について、どう読めばいいのか解説してみたいと思います。
賃料と契約書
賃貸借契約書の中では、ほとんどの場合、2つの条文で賃料に関して記載されています。
- 賃料と管理費の額と支払い
- 賃料と管理費の改定
この2つです。
これらについて、ご説明していきます。
賃料等の支払い
賃料の額と管理費(共益費)の額は契約書に別々に記載されていることがほとんどです。
賃料と管理費は別のものであって、管理費は建物全体の管理費用のことです。
主に、共用部の清掃費・共用部分の水道光熱費などに充てられる費用です。
支払いは、一般的に前払いとなっており、翌月分の賃料を支払います。
支払い方法は、貸主の指定した銀行口座に振り込む方式が多く、口座名義は貸主以外に管理会社の名称になっていることもあります。
賃料等の改定
賃料と管理費は、契約期間の更新の際に、値上げされることがあります。
賃料等の値上げはトラブルの原因になりやすいこともあり、契約書では賃料等の改定方法を記載しているケースがあります。
改定方法には、以下に挙げる5つのパターンが考えられます。
では、それぞれの項目について番号順にご説明します。
- お互いの話合いにより決定するものですから、合意が成立したら、何の問題もありません。
但し、貸主が協議をせずに一方的に値上げをした場合には、その効力が発生しないと判断されることがありますし、話合いをしても合意に至らなかった場合、最終手段として裁判所に委ねるという面倒な事態にもなりかねません。 - 一定額1万円というように明確に決めてしますケースです。
値上げ幅が妥当な値であれば問題はありませんが、例えば、契約期間2年で2倍など、極端なケースでは1と同様に裁判所の判断に任せる事態になる可能性もあります。
但し、最近は、バブル期の土地神話のような、賃料が常に上昇するという考え方はなくなっているので、こういう契約はほぼなくなっていると言っていいでしょう。 - 一定率1割というようにはっきり決めるパターンです。
他は2と同じです。 - 消費者物価や周辺相場、固定資産税にスライドして賃料を改定するというもの。
賃料相場の高騰や下落が異常なもので、急に変わるような事がなければトラブルにはならないでしょう。 - 随時改定となりますので、その時期によっては話がこじれてしまいトラブルになることもあります。
しかし、普通賃貸借契約の場合、実務上は契約期間内の賃料改定はあまり見られません。
定期建物賃貸借の場合
定期建物賃貸借契約の場合は、一般的に2年~3年の期間賃料を固定化して、期間満了後の再契約時に賃料を改定するという契約内容がほとんどになると思います。
また、これまでの普通建物賃貸借契約では、賃料の改定について何らかの特約があったとしても、周辺の相場等とあまりにもかけ離れたものになった場合には、双方(貸主と借主)は、賃料の増額や減額を求める権利(賃料増減請求権)が認められていましたが、定期建物賃貸借では、当事者が合理的な判断によって契約をしたという見解から、改定に関する特約がある場合は、賃料増減請求権は認められず、契約の時に定めた賃料改定の特約に従わなければなりません。
これにより、賃料相場や物価等の経済状況とは関係することなく賃料が決まるので、特に定期建物賃貸借契約の期間が長い場合には注意してみて下さい。
今回は、契約書の読み方第一弾として、賃料の支払いと改定についてご紹介しました。
また近いうちに、別の項目についてご説明したいと考えています。
契約書の内容について、よくわからない項目があった場合に使っていただきたいと思います。
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