店舗や事務所などで、家具や内装をそのままの状態にしておき、次の入居者に引き渡すことを居抜きといいます。
通常、事業用の店舗や事務所を退去するときは、借主は事務所を入居する前の状態に戻す、いわゆる原状回復義務があり、天井や壁床の改修や造作の撤去などをしなければなりません。
そこで、退去をするときに「居抜き」にすることで費用が掛らなくなるなど、さまざまなメリットが生まれることから、近年注目され始めています。
造作費用の高い店舗やクリニックでは以前より居抜き物件は多く見られましたが、昨今では、事務所やオフィスでも見かけるようになってきました。
ということで今回はその「居抜き」物件のメリットを挙げてみたいとおもいます。
もちろんデメリットも解説します。
コスト削減ができる
居抜き物件のメリットは、まずは何と言ってもコスト削減でしょう。
退去する側は原状回復費用、入居する側は内装などにかかる初期費用を抑えることができます。
飲食店などは、高価な設備や空調を引き継げますし、事務所でも天井まで設置されたパーテーションや個室をそのまま使用できるので、通常であれば発生する大きなコストを削減することができます。
また、入居する方にとっては、内装工事期間の賃料を削減できるというメリットがあります。
時間の短縮ができる
費用だけでなく、時間の短縮もメリットの一つでしょう。
退去する際、すぐに次の入居者が決まった場合など、契約期間を短縮できる場合があります。
また入居するときも、内装工事期間が短縮されることで、すぐに業務ができるという利点があります。
これは、ビジネスにとって最高のメリットといえるのではないでしょうか。
顧客を引き継げる
これは特に飲食店の場合ですが、以前のお店のお客様も、そのまま引き継げる場合があるというメリットがあります。前テナントの商売を、まるまる引き継ぐだけでは難しい面もあるとは思いますが、アレンジをしたり、全く新しいお店、業態として変わることで、立地条件などが良ければ十分に見込めると思います。
(過度な期待は禁物ですが・・・。)
メリットばかりではない
ここまで、居抜き物件のメリットだけを挙げてみましたが、当然、注意しないとデメリットになってしまうこともあります。
ここでは、居抜き物件の注意点を挙げていきます。
- 前テナントの評判も引き継ぐ可能性
店舗などは、前テナントの評判が良くなかった場合、イメージ的にそれも引き継いでしまう可能性があります。周辺のお店などから情報を集めてみるとすぐに分かると思います。 - 退去してからの時間
退去をしてから数か月経っていると、設備などが使いものにならなくなっている事があります。
内覧時にチェックすることが重要です。 - 造作譲渡費用の発生
造作譲渡が設定されている物件の場合、造作を譲り受けるために費用がかかります。つまり、買い取るといったほうがわかりやすいですね。
高額なケースが多いので、事前に不動産業者や家主に確認しましょう。 - 設備がリース契約に要注意!
設備などが、リース契約をされていた場合、そのまま使うつもりでいたのにリース会社が持ち帰ってしまうという事があります。リース契約をした設備や機器は、あくまでもリース会社の資産だからです。入居した後に発覚したら大変です。事前の確認が必要ですが、できない場合は契約書にリース契約であった場合の処理についての条項を入れてもらうことをおすすめします。
これらの注意点をしっかりとチェックしておけば、メリットのほうが目立つ居抜きはとても良い仕組みだと思います。内装などに特段のこだわりがなければ、おすすめです。
まとめ。
ここまで説明したように、居抜き物件にはメリットとデメリットがあります。いざ、居抜き物件を借りる場合は、ぜひ、以下のチェックポイントを確認するようにして下さい。
- 内装や設備がそのまま使用できるか。(リース契約に注意!)
- 引き継ぐ設備の使い勝手
- レイアウトの動線が自社に合ったものかどうか。
- 居抜き前のお店の評判があまりにも悪すぎないか。
オフィスや店舗を探す上で、居抜き物件を見つけた場合に参考になれば幸いです。
Leave Your Response