意外と知らない。オフィス不動産用語のまとめ

移転でも新規でも賃貸物件を探していると、日常では聞いたことがない不動産用語が出てくることがあると思います。言葉の雰囲気だけでなんとなくわかるものやまったく意味がわからないもの、また他の業界では意味が違うものまで、専門的な用語が多くあります。

ということで今回は、普段あまり聞きなれない不動産用語の中で、賃貸事務所の取引でよく使われるものに絞って、まとめてみたいと思います。

 

賃貸条件や契約などに関連する用語

重説

重要事項説明の略。不動産会社が宅地建物取引の契約締結をする前に、土地や建物について書面を交付して説明をすること。説明する項目は宅建業法で定められいて、宅地建物取引士が口頭で行わなければならない。尚、対面で説明することが義務であったが、賃貸の取引に限り2017年10月より一定条件を満たせばテレビ電話やインターネットでも行えるようになる。

壁芯計算

壁の幅の中心線から面積を計算するもので、一般的に賃貸契約面積は壁芯で計算される。実寸面積は、壁や柱の内側を測る内法面積という。

償却・敷引

保証金・敷金などの預託金から一定の割合で貸主が差し引くもの。一般的な率は10~30%程度で、契約終了時に差し引かれますが、契約時に引かれる前償却の場合もあります。預託金には消費税が課されませんが、差し引かれた金額は貸主の収入になるので、消費税がかかります。

フリーレント

入居してから一定期間の賃料が免除される。期間内に解約すると違約金が発生すること、共益費などは免除されない点に注意。

解約予告期間

契約を解約するときの予告期間。オフィスや事務所の場合、3ヶ月前~6ヶ月前に書面によって予告することで解約する。居住用の場合は、1ヶ月前が基本的。

善管注意義務

民法に定められる「善良なる管理者の注意義務」の略。賃貸物件の入居者は占有する建物や設備に対し一般的・客観的に要求される程度の注意をしなけれいけないという注意義務があるということ。

定期借家契約

一定の期間が定められ、期間満了時に契約が終了する。普通契約と違い、契約更新という概念はなく、また原則として中途解約ができません(例外あり)。

短期賃貸借保護制度の廃止

抵当権が登記された後に不動産を借りた場合でも短期賃貸借(土地5年、建物3年)であれば、賃借権は抵当権に対抗できるというものが、「短期賃貸借保護制度」。この制度が様々な事情や背景をもとに廃止され、抵当権が設定された後に入居した場合は、賃借権を対抗できなくなった。ただし、抵当権の実行で競売がされても競落人の買受日から6ヶ月間は不動産を明け渡さなくてもよいという明渡猶予制度も設けられている。

サブリース

第三者に転貸すること。賃貸オフィスでは、サブリース会社が所有者から物件を借り上げて企業に転貸借をする。この場合、契約上の貸主は所有者ではなく、サブリース会社。

ネット面積

トイレや給湯室、エレベーターホールの面積を含まない室内だけの面積。

 

建物に関する用語

RC造

鉄筋コンクリート構造のこと。

SRC造

鉄骨鉄筋コンクリート構造のこと。

スケルトン貸し

床や壁、天井などの内装がされていない状態で貸すこと。入居者が内装をすることで、好みのデザインに仕上げられ、自由度が高い。

MDF

「本配線盤」のこと。通信配線を多く引きこむビルやマンションに設置され、建物内に引き込まれた配線の最初の配電盤。1階共用部に設置されていることが多いので、ほとんど施錠されているため、電話工事などの際は解錠の手続きが必要なので注意が必要。

IDF

「中間配線盤」のこと。建物内の中継でフロア毎に中間に設ける配電盤。ここを経由して室内に配線が引き込まれる。

フリーアクセスフロア

床が二重構造になっており、電源や通信ケーブルを床のどこからでも取り出せる床構造。

個別空調

フロア毎、または部屋毎で空調をコントロールできる。

セントラル空調

中央空調ともいい建物一括で管理、コントロールする空調。大型のオフィスビルに多く、個別で時間外に使用する場合は別途空調費がかかる。

基準階

その建物の標準的なフロアのこと。
例えば、1階30坪、2階~5階各同タイプ45坪という建物の場合、2階~5階が基準階。

Pタイル

プラスチック系の床材でタイル状になっているもの

タイルカーペット

タイル状のカーペットで、事務所物件では最もポピュラー

 

その他関連用語

リノベーション

リフォームとよく混同されがちだが、元の状態に戻すリフォームと違い、まったく違う新しいものに変えることがリノベーション。

A工事・B工事・C工事

オフィスビルでは工事の性質や箇所により工事区分があります。
A工事:所有者指定の工事業者及び費用負担も所有者。
B工事:所有者指定の工事業者で費用負担はテナント。
C工事:指定の工事業者なし。費用負担はテナント。

取引態様

不動産取引における宅地建物取引業者の立場のこと。「売主」「貸主」「代理」「媒介(仲介)」のどれに該当するかを、不動産会社は広告に明示しなければなりません。

 

終わりに

今回の用語以外にも不動産用語というものはまだまだ沢山ありますが、今回は、賃貸事務所の取引で、普段あまり耳にしない言葉で、一見では意味が分かりにくい用語に絞ってまとめてみました。

日常では使わない言葉でも見れば意味がわかり、また広く一般的に知られている用語、例えば、賃借人や保証金などは省かせていただきました。

初めて賃貸事務所を探すときには耳慣れない業界用語が出てきますので、そのときに戸惑わないよう今回の用語集がお役にたてれば幸いです。