大型ビルの竣工ラッシュなどで、グレードAオフィス(基準階500坪以上・貸室総面積6,500坪以上・延床面積1万坪以上・築年数11年未満)の空室率は4%台に上昇したものの、23区内の全てのジャンルのオフィスは、現在のところ空室率2.6%と2%台を推移している状況となっております。
これは、事務所移転で物件を探すとしても、人気のエリアでは、ほぼ物件がない状態を意味しています。
実際に、渋谷や新宿、恵比寿では、お問合せをいただいてもご紹介できる物件がないという事態も発生しています。今回は実際に現場で起こっている現象を見て、空室率低下の状況を考えてみたいと思います。
反響過多で募集中止
人気エリア渋谷のお隣、恵比寿駅至近のとある物件の話です。
2017年6月入居可、内見は4月以降から可能という内容で2月から募集を開始したところ反響が殺到。渋谷駅周辺に空き物件がないというのが理由の一つですが、もともと恵比寿駅も人気があるため募集している物件がほとんどないという現状の中で出した稀少な物件であったため、反響が多くあったのだと思います。
そして、その結果、内見をせずに申込が殺到したため、3月を待たずに募集をストップするという事態となりました。
入札制度の導入
入居者募集を開始する前から、反響が多くあるだろうと想定できる人気物件では、入札制度を導入するケースも出て来ています。通常、賃貸物件では考えられない現象といえるでしょう。
しかし、実際にそういう物件も増えているのが現状です。ミニバブルといわれた10年程前にも同じような事がありましたが、リーマンショック以降、空室だらけになった状態しか経験されていない方は信じられないでしょう。
内部増床で空室募集がでない
これほど空室募集がないと次に起こるのが、移転をしないということ。
オフィスを拡大しようと思っても空室募集がない状況なので、今いるオフィスビルで空室予定がでたらそのフロアを契約して増床するというケースも実際に増えています。
そうなると当然その物件は、空き予定として募集をする前に決まってしまうので、世にでることはありません。空室率の低下の一つの要因といえます。
都心を避けてさらに空室率低下
こうなってくると、一つの物件に対し、申込が3、4件入るなどざらになってきていますので、どうしても移転せざるをえない企業は、あえて人気エリアを避けて物件を探す傾向が強くなっています。
例えば、渋谷、恵比寿で探していた場合、目黒や五反田など、また、新宿を避けて、初台や中野など、東側では、東京、神田、秋葉原から浅草橋や錦糸町などへ方向転換している企業を多く見受けます。
そうなると、都内全般的に空室がさらになくなっていくということになります。
急がなければ、ちょっと待ってみるのも吉?
今回は、都内空室率の低下によって、実際にどういう状況になっているのかを挙げてみました。今現在、オフィスを探すお客様にとっては、とても厳しい状況であることがおわかりいただけたでしょうか。
しかし、例年4月以降は、移転の動きは少なくなっていく傾向にありますし、再開発の影響で、大手企業の移転などが増加することによって、今より状況はよくなると思います。
急を用しない移転であれば、今は少し待って状況を見守るのも結果的に良いオフィス移転に繋がると思います。
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