賃貸借契約書の読み方 ~更新料と敷金(保証金)~

更新料と敷金について

賃貸借契約書の読み方シリーズの4回目です。
今回は、更新料と敷金(保証金)についてご紹介します。

更新料は記載されていれば支払う

首都圏の賃貸事務所の場合は、契約期間を更新するとき、入居しているテナントが更新料を支払うケースが非常に多いです。
この更新料はだいたいの場合、新賃料の1ヶ月分程度の金額になっています。
賃貸借契約書には、次のように記載されていることが多いと思います。
「契約を更新する場合、借主は更新料として新賃料の○ヶ月分を支払わなければならない。
このように契約書に記載がある場合には、借主は契約更新の際に更新料を支払わなければなりません。
しかし反対に、賃貸借契約書に更新料のことが一切書かれていない場合は、更新料を支払う義務はありません。

敷金(保証金)の預け入れ

ほとんどの賃貸借契約では、契約上の債務を担保する目的で借りる側が家主に預け入れをします。
契約上の債務とは、「賃料の支払債務」「建物の毀損汚損債務」「建物の用法違反などによる損害債務」などのことです。
万が一のことに備えた債務補償担保という性質を持った金銭ということになります。
そして、この敷金や保証金には、特約でもないかぎり、利息を付けないとされています。

敷引きと償却

契約書に記載されている敷金や保証金の事項の中に「敷引き○ヶ月」「償却○ヶ月」と書いてあることがあります。
敷金の場合は「敷引き」、保証金の場合は「償却」とされることが多いです。
これは、退去時に敷金や保証金からその分を差し引くことを意味しています。
例えば、敷金は賃料の6ヶ月(敷引き2ヶ月)となっていれば、退去時に返却されるのは4ヶ月分ということになります。
退去時に驚かないように、事前に確認しておきましょう。

すぐには戻ってこない

敷金や保証金は契約が終了し借主が退去する場合には、貸主は入居者に返還しなければなりません。
このとき貸主は家賃の滞納など、補償されていた債務を差し引くことができます。
また、事業用の事務所の場合では、敷引きや償却とは別に物件の原状回復費用も差し引きます。
それらすべての精算が終わり、さて返却となるかというとそうではないんですね。
事務所の場合、だいたい3ヶ月~6ヶ月くらいの猶予をもって返還されるという内容が記載されています。
貸室明渡し完了後、精算のうえ、○ヶ月以内に貸主は借主に対しこれを返還する。
この期間は、明渡し時には気付かなかった毀損や汚損箇所がないか、また他の債務が出てこないかを確認する期間とされています。
したがって、すぐに戻ってくる前提で資金計算をしていると思わぬ事態になることがありますので注意する必要があります。

更新料や敷金は、賃料や共益費以外にかかる金銭ですから、契約内容を見落しているとトラブルになりやすいデリケートな事項といってもいいでしょう。
契約前に、契約書の案文などで、常識外れの更新料や敷金の返還時期などがないか、慎重に確認してみてください。
おかしな契約内容はまれにですが、未だに存在します。
要注意です。