Tag: 重要事項説明書
今回は前回の記事に付随して、耐震診断のお話を少ししたい
と思います。
前回は、賃貸事務所や住宅などにおける重要事項説明で、
旧耐震基準で建てられた建物について、耐震診断を行ったか
どうか、また行った場合はその診断結果を説明することが、
法令で義務付けられているという事をお伝えしました。
では、その耐震診断とはどういうものなのか。
誰が行い、どういう事をするのかを簡単にご紹介したいと思います。
耐震診断士
まず、誰が診断を行う(出来る)かについては、
耐震診断士という資格の有資格者が行います。
この資格は、建築事務所に所属する建築士(一級、二級、木造)で
特定の講習を受けて認定されるか、指定検査機関、指定住宅性能評価機関で
同じく特定の講習を受けた者が耐震診断士として認定されます。
試験に合格すれば、誰でもなれるという一般的な資格ではありません。
診断後の修繕や建て替えの可能性を考えると、診断の知識だけでは足りず、
建築士等のより幅広い見識が必要ということです。
この診断士の免許を持たない場合は、耐震基準適合証明書等の
正式な書類を発行することができませんので、注意が必要です。
耐震診断
診断方法は、予備調査の後、診断レベル一次診断・二次診断・三次診断となります。
全ての診断を行うわけではなく、建物に見合った診断をします。
- 予備調査
設計図書どおりに建築されているかどうかを総合的に観て、診断レベルを
決めます。 - 一次診断
柱や壁の量、面積から計算される建物の強度を基準に診断。
壁量の多い建物や低い建築物に適した方法です。 - 二次診断
柱や壁の量、面積から強度を量るのは一次と同じですが、そこにじん性(粘り強さ)と
鉛直部材の強度(垂直にかかる力が鉛直力)が加わり、より精密な判定法になります。 - 三次診断
一次、二次診断の判定法に加え、今度は横から受ける力に対する耐力(保有水平耐力)を
算出する最も厳密な判定法です。
以上の三段階の診断方法を用いて、耐震基準を満たす建物かを段階毎に判断して、
補強すべきか、建て直しをするかを判断します。
不動産の取引をするかどうかを判断する為に、
契約締結前に必ず行われる重要事項説明。
対象とされる物件について重要な内容を記載した書面を発行し、
買主、または借主に対して説明を行います。
その説明事項の中に、耐震診断を行ったかどうかを書面に記載し、
説明することが、法により義務付けられています。
地震大国日本。
2005年の耐震強度偽装問題や東日本大震災により、
建物の強度に関する事項は関心も高く、非常に重要な事項です。
説明対象となるのは、いわゆる旧耐震基準で建築された建物。
建築確認が昭和56年5月31日以前。
または、居住用建物の場合で昭和56年12月31日以前に登記された建物。
賃貸事務所ビルなど、事業用や区分所有建物については、
昭和58年5月31日以前に登記された物件となります。
新耐震基準、旧耐震については、以前の記事
「これでわかる「新耐震基準」のビルの探し方」にも詳しく記述してありますので、
こちらもどうぞご覧下さい。
説明する内容として、まずはじめに上記対象であるかどうか、
次に、該当する場合は耐震診断検査を行っているかの有無。
無の場合は、誰に確認をしたのか、(貸主や管理会社)
有の場合は診断結果を説明いたします。